太鼓達人への道
世界パーカッション修行の旅

せっかく世界を一周するのだから、世界各国の打楽器をマスターして帰国するぞぅ!
ドラム歴十ン年のおいらは、そう決心して旅たったのでした。


[Brasil音楽について]

 ブラジルの音楽は非常に興味深い。ブラジル音楽は、とても、一くくりにくくれないほど、多様なジャンルの音楽が混在して成立している。一応理解するためにカテゴライズして、ブラジル音楽について整理してみたので、ご参考に。

 まず、<ノルデスチ>音楽。これは北部、特にバイーア地方で演奏される、民族的リズムを取り入れたダンサブルな音楽。オイラがドはまりした、サルバドールでのカーニバルで繰り広げられる音楽は、このノルデスチ音楽にカテゴライズされる。ブラジル音楽の根源とも言われているジャンル。植民地時代の首都だったバイーアのサルバドールで、カントンブレやカポエイラのリズムを取り入れて新たな音楽形態が独自に生み出されていったのだ。例えば、アフリカ系ブラジル人が結成したフィーリョス・ヂ・ガンヂーがアフォシェという形態を、イレ・アイエはブロコ・アフロという形態を作り出していった。で、今もって、新しいリズムは大抵ココから(ここ出身のアーティストから)生み出されることが多いとのこと。
 ちなみに、このブロコ・アフロのバンドであるオルドゥンが生み出したのが、あの<サンバヘギ>。このリズムは、今でも、ノルデスチで熱い。<サンバヘギ>とは、サンバとレゲエを融合させたリズム。ナタカトシアでも、死ぬほど練習したこのリズム、力が漲ってくるパワフルなリズムです。

 バイーア音楽のアーティストとしては、オルドゥン、チンバラーダ、イリアイエというパーカッショングループは最低でも押さえておきましょう。チンバラーダのライブは、メッチャかっこいいですよぉ。また、レシフェ地方では、<マラカトゥ>という独特のリズムがあり、レシフェのカーニバルでは、マラカトゥのリズムを刻むチームがパレードするそうです。

 そして、ブラジルで<サンバ>を忘れちゃいけない。ブラジルといえば、サンバでしょうと誰もが連想できるほどメジャーな音楽ジャンルです。リズム的に言うと、一拍目と四拍目にアクセントをおいたパターン。この単純で分かりやすいリズムパターンは、一聴すれば、あ、この曲サンバだって分かります。ただし、サンバもいろんな曲調がありまして。リオのカーニバルで使われるようなアップテンポなダンスサンバから、オヤジ系サンバミュージシャンがしっとりと奏でるサンバまで、ホント、幅広いです。で、オイラ、ブラジルに半年近く居るというのに、これぞサンバというド・サンバな音楽は実は生で聴いたことがありませんで。カーニバルも、結局リオに行かなかったし。中古CD屋で5レアルで購入した2009年のサンバパレードCDを聴きながら、フムフムとド・サンバにひたっている次第です。

 そして<ボサノバ>も世界的に有名となったブラジル発祥の音楽。元々サンバのリズムから派生したといわれているボサノバ、リズム的にも、ベースのアクセントはサンバと同じ一拍目と四拍目。この上に独特のシンコペーションを取り入れたリズムパターンがかぶさり、サンバとは違ったニュアンスをかもし出しているものなのです。CD屋で試聴すると、テクノボサノバといって、アップテンポでダンスビートに乗ったボサノバ曲などもあるのですが、オイラのイメージ的には、ボサノバってゆる〜い感じのオシャレな音楽。何人かのアーティストの曲を聴いてはみたのですが、イマイチピンとこないんですよねぇ、ボサノバ・・・

 ブラジルのポピュラー音楽としては、<ショーロ>と呼ばれるものが、普通に聴ける庶民的な音楽としてあります。多分リズム的にはサンバ・ボサノバをベースにしているんだと思うのですが、ちょっとジャズ的要素が入っているような、音楽的には若干崩し気味で、洒落感を出している音楽です。ギター、カヴァキーニョ(小型4弦弦楽器)、フルート、打楽器、ベース、歌といった構成で演奏されることが多く、カフェミュージックとしてブラジルの人たちに広く愛されているようです。ショーロは、ライブを見に行って、ライブ自身はスゴク心地よく、いいものだったんですが、CDでジックリ聴く音楽かというと・・・オイラ的にはあんまりかなぁ・・・

 ブラジルのポピュラー音楽は<MPB>という括りでブラジル国内では扱われてます。これは、Musica Popular Brasileiraの頭文字をとったもので、ボサノバ以降、ロック、ヒップホップなどの要素を取り入れた新しい音楽ジャンルです。CD屋へ行くと、大抵このMPBゾーンが広く設けられてます。つい先日、ようやくCD屋で発見した、マルコス・スザーノ師匠のCDもこのMPBのコーナーに置いてありました。Vitor Ramilというブラジル南部出身のアーティストとの競作。もちろん買って聴いちゃいまして。現代的な聞きやすいポピュラーミュージックで、割と好み。日本人的には、サンバ、ボサノバというジャンルでブラジル音楽を聴いちゃうんだろうけど、おそらくブラジルの人、特に若者はMPBを聴いているんじゃないかな。サンバ・ボサノバって、日本で言う、ヨサコイ、演歌みたいなもので、ピロウズとか、宇多田ヒカルとか、アジカンとかに位置づけされる若者に人気のアーティストは、MPBのジャンルにいるんだと思います。

 そして最後に紹介するのは・・・オイラ的に衝撃的な出会いだった<ミナス音楽>。ミナス音楽というのはブラジルのミナス・ジェライス州で発展した音楽で、アフリカ伝来のリズム、土着のインディオの音楽、ポルトガル人が持ち込んだと思われるヨーロッパの教会音楽などの要素が混在したものらしいです。他のジャンルとは一線を画す、独特の音楽形態になっていまして。プログレ好きなオイラ、ミナス音楽は、プログレだ!と紹介するWEBページなどを見つけ、興味を惹かれてしまい、ミナス音楽を聴くならコレというお勧めの一枚<Minas>を中古CD屋で見つけ買ってしまいました。ブラジルの声とも言われているミルトン・ナシメントのアルバム。いやぁ、これは・・・なんというか、スゴイアルバムです。今まで聞いたことがないような音楽展開。完全にプログレですわ、これは。そして、すっかりミナス音楽に魅せられてしまったオイラは、ミナスについてググって調べてみたのでした。すると、オイラの好きなギタリストPat Methenyのアルバム<Still Life(Talking)>が、ミナス音楽のドップリ影響されて作られていたということが判明。なるほどなぁと思ったのでした。



【Brasil Salvadorで見たライブ:サンバヘギパレード by スインギ】

サルバドールのリズム。サンバヘギ。サンバレゲエと書いてサンバヘギと読む。100%サンバヘギ、サンバヘギに命をかけている(?)スインギのパレードは迫力のビートでした。

【Brasil音楽お勧めCD/ノルデスチ】
So Percussao Vol.1
Swing do Pelo

上にリンクしたYouTube映像のスインギのCD。ナオ宿で知り合ったタダシさんが購入したのをコピーさせてもらっちゃった。全編サンバヘギ。10曲入っているのに、全部サンバヘギ。さすが、サンバヘギに命を懸けているバンドのCDだ。


【Brasil音楽お勧めDVD/ノルデスチ】
Timbalada Ao Vivo
TIMBALADA

カルニーニョス・ブラウンがリーダーとなり結成されたチンバラーダ。最初は、打楽器隊によって編成される、サンバチームだったようですが、今は、現代風に、歌あり、楽器ありで、ポップなサウンドを奏でるようになっています。いやぁ、でも時折見せるキメフレーズは、オイラ達がやったフィルパターンに限りなく似ていて・・・見ていると思わずニヤリとしてしまうライブDVDです。


【Brasil音楽お勧めの一曲/ノルデスチ?】
Brasil meeting (Tamburi Mundi - The Wizards of Rhythmに収録)
Marcos Suzano, Gilson de Assis & Simon Valentin

ブラジル音楽はこれを聴くだけでもいい!!!勝手に崇めているパンデイロ師匠のマルコス・スザーノが叩くめっちゃカッコイイパンデイロ。フレヴォのフレーズから始まるノリノリのビートに、ビリンバウがかぶさってくる・・・まさにブラジル。iTMSで見つけたマルコス・スザーノのプレイ曲。この一曲だけダウンロード購入して聴く価値あり。

【Brasil音楽お勧めCD/サンバ】
Sambas de Enredo 2009
コンピレーション

ブラジル現地に行くと、どこのCDショップにも、カーニバルの音源を録音したコンピレーションアルバムが置いてある。たぶん、どれを買っても当たりなんだろうけど、オイラは2009年版を購入。とりあえずサンバが聴きたいっていうのなら、十分楽しめる。いいですよ、このシリーズ。


【Brasil音楽お勧めCD/ミナス】
Minas
Milton Nascimento(ミルトン・ナシメント)

これ?ブラジル音楽?と、思っちゃうかも。アフリカのカホリたっぷりなこのアルバム、これも、ブラジルなんです。ブラジルの中で独特な異彩を放つミナス音楽、もし、興味をもったなら、この一枚がお勧め。