Separate ways
分岐道で選択ミス?

2012.12.13 / Albania→Montenegro(Lezhe~Hani i Hoti国境付近) 本日 自転車78km走行 : Total 42398km走行
天気:晴 自転車折りたたみ:1
朝飯→肉スープ&ライス 昼飯→ピザ 夕飯→パン / 宿→国境付近で野宿

(English)
 I entered to Montenegro today.



 今日もめっちゃ寒い。というか、どんどん寒くなっている気がする。これは北に向かって走っているからなのか?まぁ、寒さには、意外と強いオイラ。寒いだけなら、なんとか走れる。

 ということで、今日もアルバニア道をひた走り。一日走ったくらいじゃ運動不足は解消せず。というか、運動不足による疲労と、昨日の久々走りによる筋肉痛があいまって、昨日の走りよりもキツイ。天気はいいので、気持ちはいいのだが・・・体が悲鳴をあげてくる。

 こんな時は、飯を食うのが一番、ということで、朝飯をたらふく食えそうなレストランをキョロキョロ探しながら走っていたのだが、なかなか朝食にありつけなくて、困った。

 いや、カフェやレストランは、結構道沿いにあるんです。が、朝入っても、アルバニアの人たちは、朝飯はコーヒーだけで済ませてしまうのだろうか?って思うくらい、どの店もコーヒーかティーしかない。店は人で賑わっているのだが、皆コーヒーかティーしか飲んでいない。カフェならまぁ、わかるが、レストラン形式の店も、朝はこんな感じなのだ。

 たまに「クロワッサンなら出すよ」という店もあったのだが、クロワッサンじゃ、腹の足しにならないし、もっとガッツリ食べたいんだよなぁ、と思って、10軒くらい訪ねたところで、ようやく「肉スープとご飯なら出せるよ」というお店に辿り着いた。そうそう、そういうのを求めていたんですよぉ、ということで、やっとのことで、腹を満たすことができた。

 さて、朝食後、しばらく走っていたら、シュコドラという町の手前で、分岐道となった。左に行けば、すぐにモンテネグロとの国境に辿り着く海岸道となる。地図でみる分には、左の道の方が、近道なので、何も考えなければ、左の道へ進んだところだったのだが・・・

 この時、妙に、いろいろ考えてしまった。

 まず、アルバニアのお金が手元に結構残っているのをどうするべぇか、と考えてしまった。ティラナでの宿代支払いのためにちょっと多めに引き出しておいたお金が、予想以上の値引きによって余ってしまっていたのだ。しかも余ったのが、中途半端な金額。あと一日、アルバニアで数回レストランの飯を食ってちょっとしたホテルに泊まれば、使いきれるくらいのお金。それだったら、せっかくだからアルバニアで使い切ってしまえと思いまして。右の道に進めば、ちょうど国境前くらいにあるであろう町で、宿に泊まれるだろうと。そして、そこで、最後にアルバニア飯を堪能できるだろうと思いまして。

 で、次に、道のことを考えてしまった。地図で見ると、右の道が幹線道路らしく、太い道で書かれている。左の道はえらく細い。インフラ整備が中途半端なアルバニアは、幹線道路こそ、それなりに作られていて、走りやすいのだが、ちょっとわき道に入ると、穴ぼこだらけだったり未舗装で泥だらけだったりする道ばかりなのだ。ということで、ここは、地図上で細い道を行くよりも、幹線道路を走ったほうが、走りやすいだろう、と思いまして。

 さらに、このまま山の風景を見て走りたいなと考えまして。この二日、キレイに晴れ渡った青空の下で見る白い雪山はめっちゃ美しかったんですよ。せっかくだから、この雪山をもうちょっと見ていたいと思いまして。

 そういう想いがあって、右側の道を走り始めたのですが・・・この後、この想いが、ことごとく裏切られることになるとは。

 まず、道に裏切られた。シュコドラを過ぎたところの道が未舗装のデコボコ道となっていたのだ。まぁ、これは一部だけで、すぐに、ちゃんと舗装された道に戻ったからよかったのだが・・・

 次に、レストランと宿に裏切られた。シュコドラまでは、幹線道路脇にいくつもレストランやホテルが並んでいたんですよ。が、シュコドラを過ぎたら、レストランもホテルも、一気になくなってしまったのだ。それまで見なかった雪が、シュコドラを過ぎたあたりから、目に付くようになり、ちょっと走っていたら、周囲は雪で真っ白な世界に突入することになってしまいまして。ここから先は、人が住むには厳しすぎる環境なんだろうか?シュコドラまではそれなりに栄えていた感じのあったアルバニアだったのに、シュコドラを過ぎたら、閑散としてしまった。ということで、せっかく使おうと思っていたアルバニアのお金も、結局使う場所がないまま、国境まで辿り着いてしまうことになりまして。

 しょうがない、両替をするか、と思ったのだが、ここでは両替も大変だった。この国境付近には、両替商のおじさんたちがいなかった。たいていどこの国境でも、必ず両替商のおじさんたちはいるものなのだが、ここには全然いない。と、国境警備のおじさんに「両替できるところありますか?」と聞いたところ、その警備員さんが、国境脇にポツリとあったバーでコーヒーを飲んでいたおじさんに声をかけてくれ、そのおじさんが両替してくれることになった。おお、ありがたいと思ったものの・・・レートがあまりにも悪い。通常1ユーロ=140レクくらいなのだが、このおじさんは1ユーロ=250レクとふっかけてきたのだ。ふおお、そのレートは今まで会ったどんな悪徳両替商のおじさんよりも暴利じゃん、いいよ、両替してくれなくても、と言いたいところだったのですが、ここには両替してくれそうな人はこのおじさんしかいない。6000レクほど残っているアルバニアのお金、このまま持ち続けても意味がない。なんとか1ユーロ=200レクまでレートをあげてもらって、両替してもらうことになった。う~ん、それでも1000円くらいは損しちゃった計算になる・・・

 さて、国境の手続き自体は、何事もなく、無事、モンテネグロに入国。しかし、モンテネグロのスタンプをもらった時刻は、もう16時過ぎ。このところ日が暮れるのが早いこの辺では、17時にはもう真っ暗になってしまうのだ。国境のおじさんに聞くと、この辺にはホテルはなく、10kmくらい行けば、小さな町があるから、そこにたぶんホテルがあるとのこと。

 う~む、この時間で、もう10km走るのは無理だ。今日はもう、野宿するしかないのだが・・・周囲は雪だらけ。こんなところで、野宿せねばならぬとは・・・今日は本当は、アルバニアの残りお金を使いきるべく、いい宿に泊まってヌクヌクしようと思っていたのに。最後のアルバニアを堪能できず、お金も使えず、残ったお金も結局損なレートでしか両替が出来ず、道もよくないなんて、こっちの道、いいことなしじゃん。ああ、こんなことなら、あの分岐点で左側に行っておいたほうがよかったよ。

 と、あの分岐点でいろいろ考えた期待がことごとく裏切られていることに、苛立ちながらも、夕日に染まるピンクの雪山を見ながら、まぁ、美しく雪化粧した山々が見れるから、そこが救いか、と、自分を慰めながら、雪で底冷えするテントにもぐりこむオイラ。しかし、今日の出来事は、ほんの序の口にすぎなかったのだ。あの時チョイスが最悪に間違っていたということを、明日の走りで思い知らされることになるとは・・・