Colorful Dallol
怒涛の絶景攻撃:ダナキルツアー4日目

2012.1.29 / Ethiopia(Hamedila~Mekele) 本日 自転車0km走行 : Total 36729km走行
天気:晴時々曇
朝飯→ポリッジ 昼飯→ミートソース 夕飯→チキン / 宿→Bisrat Hotel(70ブル)

(English)
 Today I went to dallol, lowest place.



 朝、まだ暗いうちに、目を覚まし、ヘッドライトをつけながら、ベッドから出る。そして、ちょっとだけキャンプ宿を離れる。トイレをすませるためだ。というか、この村にはトイレなんてものはない。たとえ大であっても、その辺で、野に放つことになる。で、問題なのは、このあたり、ただっぴろい平地が広がっているだけで、木々はほとんど生えてなく、家もまばらにしか立っていないってこと。ということは、野に放っている姿が、どこからでも丸見えってことなのだ。つまり、お尻丸出しなオイラの横を、カラフルなベールをまとったアファールの女の子が横目で見ながら歩いている、なんてシュールな状況が繰り広げられることになる。まぁ、もはや羞恥心なんてものが薄れてきているオイラは、それはそれでかまわないのだが、見せられる方の気持ちってものもある。まぁ、なるべくなら、見られないほうがいいだろうと、朝早くに闇に隠れてすませることにしているのですよ。

 さて、今日はツアーの最終日。ええ、もう最終日なんですが、まだ火山しか見ていない。ダナキル、ほかにも見所がたくさんあるって聞いていたのに・・・そう、最終日の今日、ほかの見所を全部周るんです。しかも、午前中に、全部。

 車に乗って、ダロールという場所へ向かう。ここから先も、アーミーの警護が必要らしく、車に、一人のアーミーが同乗する。途中、ラクダのキャラバンに遭遇。ここには塩湖があり、切り出した塩をラクダを使って運ぶことになっている。初日にブラレという村で見た、ラクダのキャラバン隊は、ここからメケレに向かう途中だったってワケだ。

 さて、ダロールに到着し、車から降りて歩き始める。ゴツゴツした場所なのだが・・・なんか、雰囲気が独特。これまで見てきたゴツゴツ地とは、一味違う光景が広がっている。

 そして、奥へ行くと・・・

 言葉を失う風景が広がっていた。

 この世のものとは思えないカラフルな風景。ここも、またスゲェ。

 そんな仰天風景を見て、エリックが「ケミカル系のドラッグをヤッた時、こんなのが見れるよ・・・今、普通の状態なのにな、こりゃ、あの時みたいに興奮するゼ」とポツリ。

 アメリカンジョークです、たぶん。

 ここ、ダロールは海抜以下の低地になっている。以前は海であった場所なのだが、おそらく大地溝帯のプレート移動の影響で海と切り離されてしまったのであろう。海水が残されたままで、陸地となったこの大地。灼熱の太陽と、地殻のマグマ熱によって、水分が蒸発させられ、海水に含まれていたミネラル成分だけが残されることになる。この残されたミネラル成分が、独特の色をしており、このような、不思議な色の大地を作り上げたらしい。地殻のマグマの活動の影響でか、間欠泉にもなっており、奇妙に形作られた奇妙な色の突起から、シュッシュと、定期的に液体が吐き出されている。ここも、地球の呼吸を感じさせてくれる場所であった。エレタ・アレの激しい躍動時の呼吸と比較すると、おとなしい呼吸ではあるのだが。

 こんな奇妙な世界、思わず、手を出したくなるのですが・・・ここのミネラルは毒性があるとのことで、なるべく触らないように、そして、味見なんて絶対にしないように、と注意される。ええ、触りたくはなりますが・・・こんな奇妙な色のもの、口に入れたりしませんよ。変わった色の自然物には気をつけろ、これ、サバイバルの鉄則ですから。

 しかし、まぁ、世にも奇妙な風景だ。そして、ここも、大好きな風景だ。とにかく、ここは写真をとりまくり。このカラフルゾーンは、結構広い領域に広がっている。で、場所によって、色合いや、造形が変化していくのが、興味深い。ちょっと進むと、また違ったカラフル世界が目の前に広がっているのだ。だからいちいち足を止めてしまう。ぜんぜん前に進めない。ガイドに連れられ、淡々と進んでいくみんなに大きく遅れをとりながら「ヨシ~、早く来い~」と何度も呼びかけられながら、とにかく写真を撮りまくり。

 と、ここで、「ユースケ~、早く来い~」という声も。どうやら、ユースケくんも写真撮影にハマッている様子。オイラに負けじと、遅れをとる。

 いやぁ、ここ、最終日にオマケで来るような場所じゃないですよ。え、いや、オマケじゃなくて、ここも、れっきとしたメインイベント地ではあるんですけど・・・でも、最終日に数時間だけの滞在じゃ気分が収まらない。ここは一日、いや半日でもゆっくりしていたい場所ですぞ。

 しかし、そこはツアー旅の非情さ。ゆっくりしているオイラたちに合わせて、いつも以上に滞在時間をとってくれたものの、「次があるから」ということで、カラフルゾーンを後にすることに。またまた後ろ髪を引かれつつ、何度も何度も後ろを振り返りながら、車に戻る。

 そして、次に向かったのは、ソルト・マウンテン。ここも、すごかった。次は山かぁ、なんて、近づいてくる小高く盛り上がった場所に、少々気持ちがしぼんでいたのだが、到着して、ビックリ。なんと、これ、全部塩でできた山だそうだ。全部塩であるソルト・レイクはいくつも見てきたけど、これだけの規模の<塩山>は、初めて遭遇だ。塩だから味わってもいいだろうと、山を削って欠片をなめてみる。うん、しょっぱい。そんな塩の山、もちろん、植物なんて生えてはこず、生き物の気配なんてない、死の世界。この山の奥に水がたまっている場所があったのだが・・・近くで小鳥が死んでいた。塩分が多すぎる水であるため、飲んだ小鳥が、即死した模様。ああ、ここでも地球が生き物に対して牙をむけている・・・ダナキル、もっとも過酷な場所といわれるゆえんが分かってきた気がする。

 その後に、向かったのが、オイル・レイク。なんと、オイルが湧き出している場所なのだ。エチオピア、資源がない国だって思っていたけど、あるじゃないですか。ってそうか、そういう場所だからこそ、隣国エリトリアと小競り合いが生じてしまう場所となってしまっているのかも、なんて考えてみる。まぁ、オイルといっても、燃料に使えるほどじゃないようだが。地元の人は、化粧用に用いているらしい。

 そして、慌しく次に向かったのは、塩の採掘場。今まで言ったカラフル地帯、ソルト・マウンテン、オイル・レイクはすべて、この辺一帯に広がる広大な塩湖の一部として存在してまして。そんな塩湖の一部を切り出して、ラクダにつんで、メケレまで運ぶことを生業としているアファールの人たちがいる。過酷な場所であるが、過酷な場所であるがゆえに、一般には手に入らないものが手に入る場所でもある。それを使って生活していく人たちがいる。人間のたくましさを実感する風景だ。ちなみに、メケレまでの道、オイラたちは車で一日で来ちゃったけど・・・ラクダだと一週間以上かかるらしい。

 さて、その塩の採掘場のちょっと離れたところに、レッド・ソルト・マウンテンと呼ばれるこれまた塩の山があった。ここの山の塩は、さっきのソルト・マウンテンの塩や、塩湖の塩とはちょっと違い、特別なミネラル分が含まれているとのこと。ここの塩は、医療用に用いられるらしい。ソルト・マウンテンや、塩の切り出し場では、興味なさそうに同行してくれたソルジャーやポリスマンも、ここの塩には興味津々らしく、欠片を拾って持ち帰っていた。

 そして、ようやく、怒涛の最終日イベントのラストとなったのが、塩湖散策。この周辺砂埃が多いせいか、ずっと、汚れた塩が多かったのですが、奥へ行くと、真っ白な塩の大地が広がっていた。これこれ、これぞ、大好きな真っ白な世界!そして、この真っ白い大地のさらに奥へいくと、なんと、鏡張りな塩湖が!アンデスのように空気が澄んでいないから、ウユニのように、天空のようにはならないのですが、やっぱりテンションはあがるわけで。

 いやぁ、最終日にこの怒涛の絶景スポットめぐり。もう、気持ちはいっぱいいっぱいです。そして、おいしい昼飯でお腹もいっぱいいっぱい。

 さぁ、もう、後は、車にのって戻るだけ。帰りの車が出発。途中、何度もラクダのキャラバン隊に遭遇しながら、夕刻19時前、メケレ到着。あぁ、もう、大満足。ツアーとしては、この旅で一番。最高のツアーでしたぜい、今回のダナキルツアー。